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井上誠一氏が「各ショットごとに十分作戦計画を練って向かわなければ征服できないレイアウト」として設計したコース

龍ヶ崎カントリー倶楽部に行ったら、まず2回のレストランの右側の窓際に行って目の前に広がるコースを見ていただきたい。練習グリーンの奥に広がる適度にうねるコースの佇まいに目を奪われて、しばらくは動けなくなる。高い松の葉の濃い緑とフェアウェイの柔らかな緑、それより少し濃い緑のラフ。自然の美しい大地と樹木と様々な緑の絶妙なバランスはゴルフコースの理想郷と思えてくる。

龍ヶ崎CCは日本を代表する名匠の井上誠一氏が、絶頂期とも言える40歳代後半に設計しただけあり、現在はもちろん、今後も井上氏の遺産として高く評価され続けることは間違いない。井上氏が最初に茨城県に設計したのは1953年（昭和28年）に開場した大洗ゴルフ倶楽部で、その縁もあって同じ県内の龍ヶ崎市に持ちかけられていたコース設計が依頼された。用地はシーサイドの大洗GCとはまったく趣を異にする、内陸の適度に大きなうねりや森がある好適地だった。井上氏は「各ショットごとに十分作戦計画を練って向かわなければ征服できないレイアウトを行います。ここで腕を磨けばどんなコースに行っても恐れることはありません」のメッセージを残して設計。1958年（昭和33年）に茨城県内3番目の倶楽部として開場した龍ヶ崎CCの18ホールのコースは、大きくうねるところはそのまま残してフェアウェイの一部として利用していたり、平坦なところにはバンカーを配したりして変化に富んだものだった。

井上氏が思い描いた設計コンセプトが最も顕著に具現化されているのが、9番から、10番、11番にかけてうねる大きなひずみを利用したホールだ。9番は432ヤード（レギュラーティーから418ヤード）の長いパー4。グリーン手前180ヤード付近からフェアウェイは幅広いひずみの溝になっていて、ひずみの手前の両サイドにはアゴの高いフェアウエイバンカーがある。ティーショットは曲げられないし、飛ばし過ぎても第2打が難しくなる。10番は9番からのひずみが船底状にS字にフェアウェイを形成する419ヤード（レギュラーティーから405ヤード）のパー4。ティーショットは最初の曲がり角にある松の木の上を狙って行かないとセカンドショット地点からグリーンは見えない。少しでも右に打って飛びすぎると右の斜面に止まってグリーンは狙えない。コントロールされた完璧なドローボールが求められる。グリーン周りには一切バンカーはないが、グリーンは2メートルほどの高さの砲台グリーンで、アプローチショットも難しい。11番は9番と同じように大きな溝がフェアウェイを横切る435ヤード（レギュラーティーから415ヤード）の軽い右ドッグレッグのパー4。ベストポジションの範囲が狭いことにセカンドショット地点で気付く。

龍ヶ崎CCでは1992年（平成4年）の「日本オープン選手権」（優勝・尾崎将司プロ）、1996年（平成8年）の「日本女子オープン選手権」（優勝・高村亜紀プロ）に次いで、2014年（平成26年）に3回目のナショナルオープン「日本女子オープン選手権」が開催されることが決定している。

基本情報

コースレイアウト

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