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名匠・井上誠一氏初設計のゴルフ場

ゴルファーであれば井上誠一氏の名前を知らぬものはいないであろう。
ゴルフ場設計者である井上氏は生涯41コースの設計に携わった。大洗ゴルフ倶楽部は井上氏が初めて設計を担当したコースとして知られている。

バックティーコースレート74.4という数字は長年、ゴルファー間での「まわってみたいゴルフ場ランキング」上位に位置する理由とも言えるのではないだろうか。
41コースも設計した井上氏がシーサイドコースという言葉に魅了され、生涯を通して愛し続けたこのゴルフ場、数々のトーナメントでドラマを作ってきた大洗ゴルフ倶楽部の魅力は以下の3点が主にあげられる。

過去から現在までの大洗

大洗GCの最大の特徴である樹齢100年に及ぶものを含める2万数千本の松がつくりだすの雰囲気は、他にはない独特なものを持つ。ただ、1953年に開場したが、50年以上前から、大洗ゴルフ倶楽部の木が大きく、そして多く生えすぎて、本来の大洗の姿ではないといわれていた。茨城県と大洗町の公有地のため、木が切れないという理由がその現状を生み出していた。

しかし、ようやく国の許可がおり、2010年には木の間引きも本格化され本来の井上氏設計の大洗ゴルフ倶楽部の姿を取り戻しつつあるという。

プロでも難しいシーサイドコース

大洗ゴルフ倶楽部で初めて開催されたトーナメントは第3回三菱ギャラントーナメント（現在の三菱ダイアモンドカップゴルフ）である。

このトーナメント開催には慎重論もあったが5年連続の来場客の減少を食い止めるためにもと開催されたのであった。この大会で優勝したのが中村通プロ。中村プロは前年度の同大会でも優勝し2連覇となった。しかし、大会期間中の4日間を通してみてみるとスコアアベレージが75.13とコースレートより高い結果となった。

ホール別のスコアアベレージで見ると17番ホール（下図①）が4.62で、18番ホール（下図②）が4.44とラスト2ホールのスコアアベレージが難易度の1位2位であった。

ジャンボ尾崎プロの奇跡的な逆転勝利

大洗ゴルフ倶楽部で4回目の開催となった第20回三菱ギャラントーナメントはジャンボ尾崎プロ（以下：略敬称、ジャンボ）が最終日にトップのハミルトンと6打差でスタートした。しかも、ジャンボは最終組ではなく最終組から7組前。

その日、驚異の追い込みを見せたジャンボはコースレコードを2打縮める64というスコアでホールアウト。首位のハミルトンと-9でスコアを並べたのであった。

勝負はプレーオフに持ち込まれる。プレーオフ1ホール目、ハミルトンはボギー。ジャンボはハミルトンを制し大洗ゴルフ倶楽部での初優勝を成し遂げたのである。
ジャンボは優勝インタビューで「日本一難しい上がり3ホールを制し、どうしても勝てなかった大洗で優勝することができてうれしい」と語っている。

それほど、大洗ゴルフ倶楽部という場所は戦略性に富み、プロゴルファーに好奇心をも持たせるのであった。

伊沢利光プロの大逆転優勝

ゴルフ史において後世にまで伝説として語り告げられるべき大会の舞台になったのも大洗だ。

伊沢利光プロは平成13年に開催された第1回ダイヤモンドカップトーナメント2001において伝説的な大逆転優勝をする。

初日116位であった伊沢プロであったが予選は最下位の60位タイで辛くも通過。3日目に64というコースレコードを出し115人抜きという偉業を成し遂げた。その伊沢プロと、マンデートーナメントから勝ち上がった五十嵐雄二プロ・初日からトップの藤田寛之プロの3人で最終日最終組をまわることに。

最終ホールを迎え、藤田-11、伊沢・五十嵐プロ-10という混戦状態であった。最終ホールを終え、3人のスコアは同一になり勝負はプレーオフに。伊沢プロはプレーオフ1ホール目で決着をつけ優勝を決めた。また、この年伊沢はマスターズで日本人最高の4位となり大躍進の年となった。

大洗ゴルフ倶楽部の16番、17番、18番の上がり3ホールで数々のドラマが生まれている。
皆さんもぜひラウンドし、自分たちの新しいドラマを作ってみてはいかがだろうか。

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